日本鉄バイオサイエンス学会

Lipocalin, mammalian siderophoreと鉄代謝 :抄録


トップページ >> BioIron2007京都フォローアップシンポジウム >> Lipocalin, mammalian siderophoreと鉄代謝 :抄録 【2008/02/28】

Lipocalin, mammalian siderophoreと鉄代謝 :抄録

 演者:森 潔、向山 政志、中尾 一和 (京都大学内分泌代謝内科)
 演者:Jonathan Barasch (コロンビア大学腎臓内科)

Neutrophil gelatinase・associated lipocalin(Ngal )は、好中球由来分泌蛋白で、脂溶性リガンド のキャリアーであるリポカリンスーパーファミリーに属する。

Ngal 蛋白は赤色を呈しており、siderophoreを介して間接的にFe3+イオンと結合することが報告された。

siderophoreは細菌、真菌、植物などが鉄濃度の低い環境で鉄を有効に回収するために合成、分泌する小化合物の総称であるが、哺乳類における構造や役割は全く不明である。

我々はNgal の新しい生物学的作用として、腎臓分化誘導と腎障害軽減の2つを明らかにした。

これらの作用は大腸菌由来siderophoreとFe3+の共存により著しく増強された。

また、マウス、ヒト尿中には、Ngal とFe3+の結合を媒介する活性を認め、尿中にはmammalian siderophoreが存在すると考えられた。

Ngal はsiderophore依存性に多彩な作用を示すことが続々と報告されているので、今後、mammalian siderophoreを同定し、その生物学的意義を更に解明したい。


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