日本鉄バイオサイエンス学会

ミトコンドリアヘム鉄代謝異常と鉄芽球性貧血 :抄録


トップページ >> BioIron2007京都フォローアップシンポジウム >> ミトコンドリアヘム鉄代謝異常と鉄芽球性貧血 :抄録 【2008/03/02】

ミトコンドリアヘム鉄代謝異常と鉄芽球性貧血 :抄録

演者:張替 秀郎(東北大学教授)

ヘム合成系を構成する酵素は8種類で、最初の酵素である5・アミノレブリン酸合成酵素(ALAS)と最後の3つの酵素はミトコンドリア内で機能する。

ALASには、非特異型であるALAS-N(ALAS1)と、赤血球特異型であるALAS-E(ALAS2)の2種類のアイソザイムが存在する。

ALAS以外のヘム合成系酵素の変異により発症する疾患はポルフィリン症であるが、ALAS2遺伝子の変異によって発症する疾患は、伴性劣性遺伝形式をとるX連鎖性鉄芽球性貧血(XLSA)である。

これまでに48家系のXLSAが報告され、34種類のALAS2遺伝子の変異が確認されている。

ALAS2遺伝子欠損マウスは貧血により胎生致死であり、その赤芽球では鉄の沈着が認められることから、症例における遺伝子解析だけでなく、実験的にもALAS2遺伝子がXLSA発症における責任遺伝子であることが証明されている。

ただし、遺伝性鉄芽球性貧血は単一の疾患ではなく、ALAS2遺伝子以外にも鉄代謝にかかわる種々の遺伝子の変異がその発症にかかわっていることが予想される。


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