本学会会員2名が、平成26年度の日本学士院賞を受賞することになりましたので、以下報告申し上げます。
研究題目 :「イネ科植物の鉄栄養に関わる分子機構の解明と育種への応用」
(共同研究)
- 森 敏(もり さとし)先生
- 現職:東京大学名誉教授
- 西澤直子(にしざわ なおこ)先生
- 東京大学名誉教授、石川県立大学生物資源工学研究所教授
授賞理由:両氏は共同して、イネ科植物の鉄獲得機構に関わるムギネ酸類の前駆体メチオニンを同定し、それに続く6段階の生合成経路のそれぞれに関わる全ての酵素の遺伝子を単離し、全生合成経路を完全に証明しました。また、ムギネ酸類分泌輸送体TOM1の遺伝子を単離し、「ムギネ酸類・鉄」吸収輸送体OsYSLの遺伝子を同定しました。このようにして、ムギネ酸類の合成・分泌・輸送に関わる全ての分子機構を解明しました。以上の鉄欠乏誘導性遺伝子の上流に特徴的な2つのシス制御配列と、これらに特異的に結合する2つの転写因子を見出し、鉄欠乏のシグナルに応答して次々に遺伝子が発現するカスケード状の鉄欠乏情報伝達機構を解明しました。さらに、世界の石灰質土壌での食糧増産に貢献する「鉄欠乏耐性イネ」と発展途上国の米食民族の健康増進等に貢献する「高鉄含有コメ」を創製しました。これらの分子基礎から農業応用に至る一連の体系的かつ独創的な研究報告等
外部リンク
2014年日本学士院受賞者一覧