日本鉄バイオサイエンス学会

鉄キレート療法の進歩と適正使用ガイドライン :抄録

演者:小渾 敬也(自治医科大学 教授)

骨髄異形成症候群や再生不良性貧血などの骨髄不全症候群では、輸血後鉄過剰症による臓器障害(心不全、肝硬変、糖尿病など)が問題となる。

我が国では、メシル酸デフェロキサミン(デスフェラール)という注射製剤がこれまで唯一の鉄キレート剤であったが、最近、経口鉄キレート剤のデフェラシロクス(開発名:ICL670)の治験が進んできている。

そこで厚生労働省特発性造血障害調査研究班で輸血後鉄過剰症の診療ガイドラインを策定した。

対象は骨髄不全症候群などを基礎疾患にもつ輸血依存の患者で、一定の余命が期待できるものである。

輸血後鉄過剰症における鉄キレート療法の開始基準としては、血清フェリチン値1,000ng/mL以上、および総赤血球輸血量40単位以上といった点を慎重に考慮し、総合的に判断するものとした。

血清フェリチン値が500ng/mL以下になった場合は、鉄キレート剤を中断する。

なお、鉄キレート療法により、造血障害の改善がみられる例があることは注目に値する。

 

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