BioIron2007京都フォローアップシンポジウム

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難治性貧血と鉄過剰-新たな治療法- :抄録

演者:大屋敷 一馬(東京医科大学 血液内科 教授) 現在の日常診療における難知性貧血とは主に造血幹細胞が傷害される「再生不良性貧血」と「骨髄異形成症候群」が対象となっています。 再生不良性貧血では自己のT細胞が造血幹細胞を攻撃する疾患で、骨髄異形成症候群は造血細胞の分化障害と増殖による形態的異形成を特徴とします。 これらの疾患では幾つかの治療法が提案されていますが、貧血治療に対しては従来通りの補充療法として輸血が行われています。 生体内では鉄の出入りは一定量を超えた場合には過剰鉄として蓄積され、実質臓器(主に肝臓、心臓、膵臓、性腺、など)の障害をもたらす事があります。
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鉄と生活習慣病-上手に付き合って健康に- :抄録

演者:岡田 茂(岡山大学 教授) 「万里一条の鉄」という禅語に象徴されるように、鉄は永遠に連なる真理のようなものであるとの感覚を私たちは受け継いでいる。 地球上の最初の生命体から現在の多様 な生命形態に至るまでの連綿たる連なりに、鉄の果たしている役割を見ると、将に 「万里一条の鉄」は当を得ている。 鉄は生命を維持するためのエネルギー獲得反応で ある酸化還元反応の主役の座を占めており、過去、現在を通じて鉄を必要としない生 命体は考え難い。 光合成生物の発生以前、鉄は二価の酸化数を持っており、酸性・中性の環境では完全な水溶性であった。
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神経変性疾患と鉄代謝 :抄録

演者:宮嶋 裕明(浜松医科大学 准教授) 脳内に鉄沈着を来す神経変性症のaceruloplasminemiaやneuroferritinopathyの発見を契機に脳内の鉄サイクルが解明され、中枢神経系における過剰鉄の細胞背吐が明らかとなった。 代表的な神経変性症であるアルツハイマー病、パーキンソン病などの病態形成の過程で、生理的に発現した蛋白質が鉄などの金属の存在下で重合して可溶性のオリゴマーあるいはプロトフィブリルを形成し、これがシナプスの機能障害、あるいは神経細胞死のシグナルドメインの活性化を惹起し、神経細胞の変性を引き起こすことが提唱された。 また、脊髄小脳変性症のFriedreich失調症の原因は、ミトコンドリア膜蛋白で鉄のシャペロンとして機能するFrataxinの遺伝子異常であることが分かった。 これらの神経難病の治療戦略の一環として、中枢神経系の過剰鉄に対するキレート剤、鉄代謝関連物質に作用する薬剤の開発が今後の課題である。
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胸膜中皮腫とアスベスト・鉄発癌 :抄録

演者:豊國 伸哉(京都大学 准教授) アスベスト曝露に起因すると考えられる悪性中皮腫が社会的な問題となっている。 本邦においては悪性中皮腫が2025年付近まで増加の一途をたどることが予測されている。 アスベスト繊維の本体は天然の鉱物であり、工業的に主に使用されてきたものにはクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)の3種類がある。 鉄音量が多いクロシドライトとアモサイトがヒトにおいて発癌性の高いことが疫学的に示されてきた。 アスベスト誘発発癌のメカニズムとしてこれまでに諸説(鉄や炎症を介した活性酸素説、繊維が染色体分配に異常を誘起する説、喫煙などに起因する別の変異原性分子吸着説)があるが、どの機序が主体なのか現在まで不明である。 既にアスベストを吸引した人における発癌予防を考えるなら、その発癌機構の解明が必要である。
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肝炎・肝がんと鉄制御 :抄録

演者:加藤 淳二(札幌医科大学 准教授) C型慢性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)では、炎症が高度かつ肝線維化か進行したケースから、肝硬変および肝細胞癌(HCC)が発生し易いことが知られているが、その機序は不明である。 近年、持続登院炎症によって惹起される発癌過程には、細脳内で生じた活性酸素種(reactive oxygen species; ROS)による酸化的DNA損傷が関与する可能性が想定されている。 他方、C型慢性肝炎およびNASHの炎症増悪因子として肝細胞に蓄積した鉄の関与が注目されている。 鉄イオンはFenton反応等を介してヒドロキシルラジカル等のROSを生成し、酸化的DNA損傷を引き起こすことが知られている。
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鉄キレート療法の進歩と適正使用ガイドライン :抄録

演者:小渾 敬也(自治医科大学 教授) 骨髄異形成症候群や再生不良性貧血などの骨髄不全症候群では、輸血後鉄過剰症による臓器障害(心不全、肝硬変、糖尿病など)が問題となる。 我が国では、メシル酸デフェロキサミン(デスフェラール)という注射製剤がこれまで唯一の鉄キレート剤であったが、最近、経口鉄キレート剤のデフェラシロクス(開発名:ICL670)の治験が進んできている。 そこで厚生労働省特発性造血障害調査研究班で輸血後鉄過剰症の診療ガイドラインを策定した。 対象は骨髄不全症候群などを基礎疾患にもつ輸血依存の患者で、一定の余命が期待できるものである。 輸血後鉄過剰症における鉄キレート療法の開始基準としては、血清フェリチン値1,000ng/mL以上、および総赤血球輸血量40単位以上といった点を慎重に考慮し、総合的に判断するものとした。
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我が国における骨髄不全と輸血後鉄過剰 :抄録

演者:中尾 償二(金沢大学 教授) 再生不良性貧血や低リスク骨髄異形成症候群などの骨髄不全患者において、赤血球輸血は最も重要な支持療法である。 免疫抑制療法や骨髄移植などの治療法が進歩したとはいえ、今なお多くの患者が定期的な赤血球輸血を必要としている。 これらの患者の予後に影響を与える最も大きな囚子の一つが鉄過剰症による臓器障害である。 赤血球輸血(1回2単位)の回数が20回を超えると、75%の患者で血清フェリチンが1000ng/ml以上となり、患者は色素沈着・肝障害・心不全・糖尿病などの鉄過剰症による症状を呈するようになる。 無効造血のため髄内溶血を認める例ではさらに早い時期から鉄過剰状態になりやすい。 最近の報告では、輸血による鉄過剰症は同種造血幹細胞移植の成績を悪化させることも示されている。
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ミトコンドリアヘム鉄代謝異常と鉄芽球性貧血 :抄録

演者:張替 秀郎(東北大学教授) ヘム合成系を構成する酵素は8種類で、最初の酵素である5・アミノレブリン酸合成酵素(ALAS)と最後の3つの酵素はミトコンドリア内で機能する。 ALASには、非特異型であるALAS-N(ALAS1)と、赤血球特異型であるALAS-E(ALAS2)の2種類のアイソザイムが存在する。 ALAS以外のヘム合成系酵素の変異により発症する疾患はポルフィリン症であるが、ALAS2遺伝子の変異によって発症する疾患は、伴性劣性遺伝形式をとるX連鎖性鉄芽球性貧血(XLSA)である。 これまでに48家系のXLSAが報告され、34種類のALAS2遺伝子の変異が確認されている。 ALAS2遺伝子欠損マウスは貧血により胎生致死であり、その赤芽球では鉄の沈着が認められることから、症例における遺伝子解析だけでなく、実験的にもALAS2遺伝子がXLSA発症における責任遺伝子であることが証明されている。
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赤血球造血と鉄代謝異常 :抄録

演者:高後 裕(旭川医科大学 教授) 鉄はヘモグロビンの構成分子で、生体鉄の多くがそのために使用される。 生体鉄代謝は、骨髄赤血球産生を調節する erythroid regulator (未開定)と、腸管からの吸収とRESからの遊離を調節する storage regulatorにより厳密に統御されると考えられ、後者の候補分子としてhepcidinが同定された。 赤血球楽生に必要な鉄の供給には、transferrin feceptor1(TfR1)を介して血清トランスフェリン鉄を取り込む機構が主体をなし、TfR1の発現は赤芽球分化の中期から後期に著しい。 これに対応しで血清中には可溶性 transferring receptor(sTfR)出現するため、sTfRは総赤血球産生のバイオマー力となりうる。 赤芽球の鉄代謝異常では、小球性低色素性貧血を示すことが多く、原因として多いのは鉄欠乏で、炎症時の網内系への鉄貯留による炎症貧血でもそれと類似の病態が生じる。
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“Secondary lron overload: lmplications of Non-lnvasive Measurement” :抄録

“Secondary lron overload: lmplications of Non-lnvasive Measurement” Performer: John K. Olynyk, School of Medicine & Pharmacology, University of Western Australia, Fremantle Hospital Campus, Department of Gastroenterology, Fremantle Hospital, Western Australia Recent advances in the understanding of the regulation of iron transport have substantially improved our knowledge of the pathogenesis of iron overload. In normal circumstances, iron absorption and losses are in balance. Iron is stored in the marrow and liver and levels of toxic non-transferrin bound iron(NTBI) or labile plasma iron(LPI) are low. When iron overload occurs as a result of increased absorption or exogenous administration via blood products or parenteral iron, storage levels increase along with NTBI and LPI.
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“Should we care about lron Overload in Myelodysplastic Syndromes” :抄録

“Should we care about lron Overload in Myelodysplastic Syndromes?” Performer: Stuart Goldberg, MD Chief, Division of Leukemia Hackensack University Medical Center Hackensack, NJ USA The myelodysplastic syndromes (MDS) are a heterogeneous group of clonal hematopoietic stem cell disorders, characterized by ineffective hematopoiesis leading to peripheral cytopenias and possible future leukemia. Although chronic red blood cell transfusions resulting in iron overload are common among patients with MDS, the ciinical implications and value of iron chelation therapy in MDS, remain unclear.
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Lipocalin, mammalian siderophoreと鉄代謝 :抄録

 演者:森 潔、向山 政志、中尾 一和 (京都大学内分泌代謝内科)  演者:Jonathan Barasch (コロンビア大学腎臓内科) Neutrophil gelatinase・associated lipocalin(Ngal )は、好中球由来分泌蛋白で、脂溶性リガンド のキャリアーであるリポカリンスーパーファミリーに属する。 Ngal 蛋白は赤色を呈しており、siderophoreを介して間接的にFe3+イオンと結合することが報告された。 siderophoreは細菌、真菌、植物などが鉄濃度の低い環境で鉄を有効に回収するために合成、分泌する小化合物の総称であるが、哺乳類における構造や役割は全く不明である。 我々はNgal の新しい生物学的作用として、腎臓分化誘導と腎障害軽減の2つを明らかにした。 これらの作用は大腸菌由来siderophoreとFe3+の共存により著しく増強された。
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