難治性貧血と鉄過剰-新たな治療法- :抄録

演者:大屋敷 一馬(東京医科大学 血液内科 教授)

現在の日常診療における難知性貧血とは主に造血幹細胞が傷害される「再生不良性貧血」と「骨髄異形成症候群」が対象となっています。

再生不良性貧血では自己のT細胞が造血幹細胞を攻撃する疾患で、骨髄異形成症候群は造血細胞の分化障害と増殖による形態的異形成を特徴とします。

これらの疾患では幾つかの治療法が提案されていますが、貧血治療に対しては従来通りの補充療法として輸血が行われています。

生体内では鉄の出入りは一定量を超えた場合には過剰鉄として蓄積され、実質臓器(主に肝臓、心臓、膵臓、性腺、など)の障害をもたらす事があります。

これらの過剰鉄の除去(徐鉄療法)は現状では非経口の徐鉄剤が用いられていましたが、近い将来には経口摂取による徐鉄剤が利用できます。

経口徐鉄剤は糞便中への鉄の排泄をうながし、効率的な徐鉄効果をもたらすことから、難治性貧血の患者さんへの輸血療法における鉄過剰症への対策の一つとして期待されています。

 

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