日本鉄バイオサイエンス学会

8.鉄欠乏性貧血の治療法

鉄欠乏性貧血の治療はどのように行われているのでしょうか


鉄欠乏性貧血で薬を飲んだり注射をしたりするのは、ヘモグロビン値が10g/dlを切った時からです。多くは鉄の錠剤が処方されます。

 

鉄剤を飲み始めると普通、1~2ヶ月で貧血は回復します。

大切なことは、貯蔵鉄が十分回復するまで飲み続けることです。

それには、図からお分かりのとおり4~5ヶ月掛かりますから、気長く飲み続ける必要があります。

鉄欠乏性貧血は鉄剤を飲むことで必ず治ります。

治らない場合は鉄欠乏性貧血でない場合、またはあまりに出血がひどく鉄剤が間に合わない場合などです。

鉄欠乏性貧血の原因には以下のようなものがあります。

この中には、ガンのように大きな病気が隠れていることもありますから、どうして鉄欠乏性貧血になっているかを知ることは非常に大切なことです。

私は、前任の高松赤十字病院で鉄欠乏性貧血311例について、原因を調べたことがあります。

311名の内訳は、女性274名(88.1%)、男性37名(11.9%)でした。

それぞれの原因別内訳はグラフの通りです。

これを見て分かることは、女性は生理が多く(これには子宮筋腫や子宮内膜症といった病的なものもあります)、1/3を占め、原因不明の方(おそらくは食事からの鉄不足)が 1/3 を占めます。

男性では、消化管出血が6割を占め、このなかには胃がん・大腸がん(21.8%)などが含まれており、とくに男性の場合は必ず原因を調べてください。

女性の鉄欠乏性貧血の原因割合

男性の鉄欠乏性貧血の原因割合

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