我が国における骨髄不全と輸血後鉄過剰 :抄録

演者:中尾 償二(金沢大学 教授)

再生不良性貧血や低リスク骨髄異形成症候群などの骨髄不全患者において、赤血球輸血は最も重要な支持療法である。

免疫抑制療法や骨髄移植などの治療法が進歩したとはいえ、今なお多くの患者が定期的な赤血球輸血を必要としている。

これらの患者の予後に影響を与える最も大きな囚子の一つが鉄過剰症による臓器障害である。

赤血球輸血(1回2単位)の回数が20回を超えると、75%の患者で血清フェリチンが1000ng/ml以上となり、患者は色素沈着・肝障害・心不全・糖尿病などの鉄過剰症による症状を呈するようになる。

無効造血のため髄内溶血を認める例ではさらに早い時期から鉄過剰状態になりやすい。

最近の報告では、輸血による鉄過剰症は同種造血幹細胞移植の成績を悪化させることも示されている。

臓器障害の程度は血清フェリチン値とほぼ相関することから、輸血依存性の骨髄不全患者に対しては、不可逆的な臓器障害が起こる前に、フェリチン値を指標として鉄キレート療法を開始することが望ましい。

 

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