なぜ鉄欠乏がおこるのでしょうか
人体の鉄は、成人男性で3,500~5,000mg存在すると申しましたが、このうち出入りする鉄は1mg程度に過ぎません。
私達は食事から、毎日10mg内外の鉄を摂りますが、このうち約10%が吸収され、約1mgが体内にはいります。
すなわち、出納はきわめて少なく、ほとんどは体内でリサイクルされているのです。
ですから、女性の生理での出血や胃潰瘍、大腸がんなどの病気での出血があると、大量の鉄分が失われますので、これを補うのは容易ではありません。
この時、貯蔵鉄が動員されますが、間に合わなければ貧血に陥ります。
女性は、生理によって毎月、30~40mlの血液を失いますが、これは、鉄分15~20mgに相当します。1日に換算すると。0.5~0.7mgとなります。
ですから、生理のある女性は、男性より5~7mg(10%が吸収される)余分に鉄が必要になります。鉄欠乏性貧血が圧倒的に女性に多い理由はここにあります。