2018年 新年のご挨拶

2018年 戌年

年頭のご挨拶

豊國 伸哉

理事長 豊國 伸哉(名古屋大学医学系研究科 教授)

新年を迎え、会員のみなさまにおかれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。2018年、本学会をさらに発展させ、学際性を高め社会に貢献できる存在にしていくよう努力する所存ですので、会員のみなさまの御協力、御支援を賜りたく、心よりお願い申し上げます。

地球上のすべての生命体は鉄なしで生きることはできないため、鉄代謝は生物学・農学・薬学・医学などのほぼ全バイオ領域に関連してきます。バイオ鉄研究の内容はさまざまな本学会より大きな学会でも論じられておりますし、特定の酵素、化学反応や治療法に関する、小さな学会や研究会でも論じられています。

会員のみなさまへの私からのお願いは、バイオ鉄に関する研究を他の学会でも多数発表していただき、バイオ鉄研究の重要性を広めていただきたいということです。また、他の学会からの新しい内容を鉄バイオサイエンス学会にも是非持ち帰って発表していただきたいと思います。そして、この学会をバイオ鉄研究のメッカならびに坩堝(るつぼ)にしていただきたいと願っております。

鉄代謝研究会としてスタートした本学会も新旧交代が徐々に進んできました。昨年の年頭挨拶で予測したフェロト-シス(ferroptosis)がみごとにブレークスルーを果たし、いろいろな分野を巻き込みながら発展しつつあります。フェロトーシスは、プログラムされた鉄依存性のネクローシス(壊死)で酸化的な細胞死を意味します。昨年11月30日号のCell誌にはスターウォーズをもじってThe Ferrous Awakens(2価鉄の覚醒)という総説まで登場して、私自身驚かされました。ちなみにスターウォーズ・エピソード7のタイトルはThe Force Awakens(フォースの覚醒)であり、新作上映前の微妙な時期を狙ってくるかとその「遊び心」に感心させられました。今年はCold Spring Harbor Asia(中国蘇州)で11月にフェロトーシスの国際会議がありますので、興味がある方は是非ご参加ください。

種々の神経変性疾患や子宮内膜症など過剰鉄との関連が明らかでありながら、本学会の存在さえ知らない研究者もまだまだ沢山おられると思います。バイオ鉄に興味を持つ若手をひとりでも多く本学会にお誘いいただきますよう、会員のみなさまの御協力をよろしくお願いいたします。

今年の日本鉄バイオサイエンス学会は金沢医科大学の川端 浩教授のお世話で9月1日〜2日に金沢で開催されます。会員の先生がたあるいは新しい先生方の多数の御参加をお待ちしております。

末筆になりましたが、本年も会員各位におかれましては、健康と安全に十分に留意され、ますます御活躍になることを祈念しております。

2018年1月1日

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