2019年 亥年 新年のご挨拶

年頭のご挨拶

理事長 豊國 伸哉(名古屋大学医学系研究科 教授)


新年を迎え、会員のみなさまにおかれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。

今年は平成に別れを告げ、新たな元号が始まる年です。この平成の間にバイオ鉄研究は著しい発展をみせたと思います。

DMT1やferroportinを代表とする種々の鉄トランスポーターの発見、新たな鉄制御ペプチドホルモンであるヘプシジンの発見、触媒性2価鉄を検出できるturn-on蛍光プローブの開発の成功など、多彩な出来事がありました。

2019年、本学会をさらに発展させ、学際性を高め社会に貢献できる存在にしていくよう努力する所存ですので、会員のみなさまの御協力、御支援を賜りたく、心よりお願い申し上げます。

地球上のすべての生命体は鉄なしで生きることはできないため、鉄代謝は化学・生物学・農学・薬学・医学などのほぼ全バイオ領域に関連してきます。バイオ鉄研究の内容はさまざまな本学会より大きな学会でも論じられておりますし、特定の酵素、化学反応や治療法に関する、小さな学会や研究会でも論じられています。

会員のみなさまへの私からのお願いは、バイオ鉄に関する研究を他の学会でも多数発表していただき、バイオ鉄研究の重要性を広めていただきたいということです。また、他の学会からの新しい内容を鉄バイオサイエンス学会にも是非持ち帰って発表していただきたいと思います。そして、この学会をバイオ鉄研究のメッカならびに坩堝(るつぼ)にしていただきたいと願っております。

鉄代謝研究会としてスタートした本学会も新旧交代が徐々に進んできました。

2012年に初めて提唱された、「鉄依存性の制御された壊死」であるフェロトーシス (ferroptosis) はみごとにブレークスルーを果たし、いろいろな分野を巻き込みながら発展しつつあります。

昨年11月にはCold Spring Harbor Asia(中国蘇州)でフェロトーシスの第2回国際会議が開催され、200名程度の参加があり、日本からも私を含む7名が参加し、熱い議論を戦わせました。

種々の神経変性疾患、子宮内膜症、ウイルス性肝炎、アスベストによる中皮腫など過剰鉄との関連が明らかでありながら、本学会の存在さえ知らない研究者もまだまだ沢山おられると思います。バイオ鉄に興味を持つ若手をひとりでも多く本学会にお誘いいただきますよう、会員のみなさまの御協力をよろしくお願いいたします。

今年の日本鉄バイオサイエンス学会は京都府立大学の南山幸子教授のお世話で9月21日〜22日に京都で開催されます。会員の先生方ならびに新しい先生方の多数の御参加をお待ちしております。また、今年は本学会の国際組織であるInternational BioIron Society (IBIS)の会議が5月5日〜9日にドイツのハイデルベルグで開催されます。みなさまお誘い合わせの上、ご参加ください。

末筆になりましたが、本年も会員各位におかれましては、健康と安全に十分に留意され、ますます御活躍になることを祈念しております。

 

2019年1月1日

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